書籍『英会話イメージリンク習得法』を販売して一週間が経ちました。たくさんのご注文をいただき、誠にありがとうございます。
本日は、書籍の巻末「おわりに」に記載しております「執筆経緯」と「読者の皆さんへのメッセージ」を転載させていただきます。私ども編集部がどういう気持ちで執筆を進めていたのか、一端をお伝えできればと思います。
私がこの本で一番伝えたかったことは、英語も日本語も面白いということです。これは私自身が英語を学んできて感じたことです。
この本は私が英語を学んできたプロセスをまとめたものです。私も 最初は「話せるようになりたい、ペラペラになりたい」という気持ちから英語を勉強し始めました。
そして2年ほど勉強した結果としてTOEICで515点から現時点では830点というところまできました。しかし、それでもまだうまく話せているとは思えません。まだ英語を自分のものにしきれていないのです。ただ2年前に比べると話せるようになってきているし、聞き取れるようにもなってきました。本書はその過程にいる人間だからこそ書けた部分があると思っています。
この2年ほどの英会話の学習でいちばん困ったのは、文法書の説明を読んでもよくわからないということでした。一生懸命考えても、なぜこういう表現を使うのか、どうすればこの表現が使えるようになるのかがよくわからなかったのです。
ネイティブがどういう気持ちでその英文を使っているのかを知りたいと思いました。そこで日本の大学で言語学を専攻している英語ネイティブの大学院生に協力を仰ぎながら、英語に込められた気持ちやネイティブのモノの見方を調べていきました。そのようにして地道にひとつひとつ確認を取っていった内容をまとめたのがこの本です。
その過程でわかったことは、やはり普通のネイティブは母国語について説明するのが苦手だということです。というか、ほぼ説明できないのです。例えばネイティブに「lookとseeとwatchっていうのは何が違うんですか?」と聞くと、澄ました顔で「全部一緒です」などと答えます(笑)もちろんそう答えたネイティブは、この3つをちゃんと使い分けています。日本語をペラペラに話し、さらに言語学(方言)を専攻しているようなネイティブですら、母国語である英語の構造についてはうまく説明できないことがたくさんありました。
ですから正直に申し上げれば、本書に書いてあることはあくまで私の仮説でしかありません。私がさまざまな文献を調べたり、例文にあたったりしながら立てた仮説ということです。
もちろん、その内容がネイティブにとってしっくりくるかどうか丁寧に確かめています。そもそもが私の勉強のためだったので、ネイティブが「うん、たぶんそうだと思う」と流したものも、私のほうがしっくりきていなければより突っ込んだ質問をしたりしました。またフィーリングで済ませてもよさそうなところもなるべく言語化するようにしました。
このような探求の結果、私自身も英語の世界が見えてきたと感じています。しかし同時に、本書で自信をもってお伝えしてきた内容も「唯一無二の正解」にはなりえないと思っています。
というのも、言語については正解というものがそもそもないと思うからです。誰にでもあてはまるような客観的な正解は存在しなくて、自分の中に正解をつくるという行為が大切なのだろうと思っています。
一度自分のなかで正解をつくってみて実際に試してみる。そしてフィードバックを得て修正をしていく。そういったことがどうしても必要なのだと思います。
なので、皆さんもこの本に書いてあることを鵜呑みにしないようにしていただきたいと思います。健全な批判精神をもって吟味してもらいたいと思っています。
健全な批判精神とは完全に信じ込むことではありませんし、完全に拒絶することでもありません。前向きな気持ちで一度は受け入れて実行してみるような「素直さ」は必要だと思いますが、どんなにいいなと思っても最初は80~90%くらいまでに留めるべきだと思います。
残りの10~20%は実際に自分自身がやってみて、自分自身の経験で埋めていってください。やはり正解はみなさんの中にしかないからです。
自分のなかで正解をつくる過程で大切になるのは「気持ち」や「モノの見方」を捉えようとする姿勢です。そのため「なんかおかしいんじゃないかな」と思うような表現に出会ったら、それをそのまま鵜呑みにせず「なぜなんだろう」ということを考えてもらいたいと思います。
本書を読んで、英語も覚え込むだけでなく「理解できる」ものだということを皆さんが納得してくださったとしたら、これに勝る喜びはありません。これまで習ってきた英語で「ピンとこないこと」や「釈然としないこと」が積み残されているでしょう。本書によってそんな積み残しが1つでも解消したとしたら、たいへん嬉しく思います。
『英会話イメージリンク習得法』「おわりに」より引用